丸太から製材した木材は水分を含んでおり、乾燥時に変形を起こします。クロスポール工法は、含水率の高いグリーン材に精度の高い穴をあけ、この穴と同経の丸棒(ポール)を挿入し串刺し状にした丸棒が変形を抑え込み、変形により発生する摩擦力も利用することで、接着剤を利用しなくてもパネル化ができ、単純な物理的なパネル化は湿潤状態になる防腐剤加工注入処理が可能となり、杉・桧材の屋外利用を可能にします。
機械乾燥をしないので、乾燥コストがかかりません。バイオマス発電の原料と同じローコストな小径木(間伐材)の利用ができます。木材の加工が単純で、製作コストが軽減できます。工事はパネルを並べるだけですので、下地造りが不要です。軽量の木材のパネルは簡易は基礎工事でコストを大幅に軽減でき、防腐剤加圧注入処理により、塗装等のメンテナンスコストがかかりません。
平成7年(1995年)に杉材にタナリス防腐剤加圧注入を施した、目隠しを兼ねた遮音壁の試作を東北自動車道大谷PA上り線側に400m行いましたが、いまだに朽ちたところがなく、竣工当時と変わらぬ遮音効果を発揮しております。
側道側の写真です。(2018年撮影)
PA側の写真です。(2018年撮影)
日本の人工林は、植林をしてから50年以上経ち、利用期に入りましたが、林業の衰退による森林荒廃は深刻で、人工林には細長い建築資材としての利用が難しい小径木が立ち並びます。
間伐前の森の断面
間伐
日本の森林の体積は毎年1億立方メートル増加しますがそのほとんどが人工林の木です。(1億立方メートルは、東京ドームの体積の約80倍程度)森林整備(間伐)を行わないと、枝葉が干渉し木材は太陽の当たる上部にのみ成長を続けますので、人工林の木は細長い写真のような木となります。小径木では、建築資材としての利用が難しく、間伐材のほとんどが、バイオマス発電の燃料として活用されています。そのため、非常に低価格となります。森林資源は日本の財産ではありますが、建築資材での利用目的で植林をした杉・桧を当初の使い方と異なるバイオマス発電の燃料として利用すると、森林資源の価値は大きく低下してしまいます。